「決算書は税理士に任せているが、銀行が何を見ているのかはよくわからない」——中小企業の経営者から、こうした声をよく聞きます。融資を受けやすい会社になるには、まず「銀行が決算書のどこを見ているのか」を知ることが第一歩です。本記事では、融資審査で重視されるポイントと、融資に強い会社の数字の考え方を解説します。
銀行はなぜ決算書を重視するのか
銀行が融資を判断するうえで、最も基本となる資料が決算書です。銀行は「貸したお金が、利益とキャッシュからきちんと返済されるか」を見ています。担保や保証も判断材料になりますが、その前提として「会社そのものに返済能力があるか」を決算書から読み取っているのです。つまり、決算書は会社の通知表のようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。
銀行が見ている決算書の主なポイント
① 利益が出ているか(収益力)
まず確認されるのは、本業できちんと利益が出ているかです。特に重視されるのは、本業の儲けを示す営業利益と、最終的な当期純利益です。一時的な要因ではなく、継続的に黒字を出せているかが評価されます。
② 自己資本比率(会社の体力)
自己資本比率は「自己資本 ÷ 総資本 × 100」で計算され、返済不要の自分の資本が会社全体のどれくらいを占めるかを示します。比率が高いほど財務的に安定していると評価されます。一般に30%以上あると安定とされ、業種によって目安は異なりますが、高いほど融資審査では有利に働きます。
③ 債務償還年数(返済の余裕)
債務償還年数は、今ある借入を利益とキャッシュで何年かけて返せるかを示す指標です。一般に10年以内が望ましいとされます。中小企業の平均はこれより長めの傾向がありますが、年数が短いほど「返済能力が高い会社」と見られます。
④ 純資産がプラスか(債務超過でないか)
純資産がマイナス、つまり債務超過の状態は、銀行から見て大きなマイナス材料です。資産より負債が多い状態であり、融資のハードルが一気に上がります。
⑤ 数字に不自然な点がないか
減価償却が正しく計上されているか、現金や在庫・売掛金の額が実態と合っているかなど、決算書の「中身の信頼性」も見られます。実態を反映しない決算書は、かえって評価を下げてしまいます。
「融資に強い会社」になるためにできること
融資に強い会社になるには、一朝一夕ではなく、日々の経営の積み重ねが必要です。継続的に利益を出して内部留保を厚くし、自己資本比率を高めていくこと。借入と返済のバランスを意識し、債務償還年数を改善していくこと。そして、月次決算などを通じて自社の数字を経営者自身が把握しておくことです。銀行は「数字を理解し、説明できる経営者」を信頼します。
決算書を「融資に強い数字」に変えるには伴走者が有効
とはいえ、どの指標をどう改善すればよいのか、自社だけで判断するのは簡単ではありません。社外CFOは、決算書を銀行目線で読み解き、自己資本比率や債務償還年数といった指標をどう改善していくかを経営者と一緒に考えます。融資の相談や金融機関との対話の場面でも、数字の裏付けをもって伴走します。
まとめ
銀行が決算書で見ているのは、利益が出ているか、自己資本比率は十分か、債務償還年数に余裕があるか、債務超過でないか、数字に信頼性があるか、という点です。これらを意識して経営することが、融資に強い会社づくりにつながります。まずは自社の決算書を、銀行の目線で見直してみることから始めてみてください。