「この仕事は、あの人しかできない」——一見、頼れるベテランがいる証のようですが、実は会社にとって大きなリスクです。その人が休んだり退職したりした途端、業務が止まってしまうからです。本記事では、業務の属人化が起こる原因と、それを解消していく具体的な方法を解説します。
属人化とは何か、なぜ問題なのか
属人化とは、特定の業務のやり方や知識が一人の担当者だけに集中し、ほかの人には分からない状態を指します。問題は、その担当者の不在で業務が滞ること、品質が担当者頼みでばらつくこと、業務改善が進みにくいこと、そして引き継ぎや教育に多大な時間がかかることです。中小企業ほど少人数で業務を回しているため、属人化のリスクは大きくなります。
属人化が起こる主な原因
属人化は、担当者の能力が高いから起こるとは限りません。多くは仕組みの問題です。業務の手順が文書化されておらず本人の頭の中にしかない、忙しさからマニュアル作成が後回しになる、「自分がやったほうが早い」と業務を抱え込む、引き継ぐ余裕も時間もない——こうした状況が積み重なって属人化が進みます。
属人化を解消する4つのステップ
ステップ1:業務の棚卸しをする
まず「誰が、どんな業務を、どのように行っているか」を洗い出します。どの業務が特定の人に依存しているかを可視化することが出発点です。
ステップ2:業務フローを整理・標準化する
洗い出した業務のうち、属人化しているものから手順を整理します。「この人ならではのやり方」を「誰でもできる標準の手順」に置き換えていきます。
ステップ3:マニュアル化する
標準化した手順をマニュアルに落とし込みます。ここで重要なのは、担当者本人に丸投げするのではなく、組織として取り組むことです。第三者が読んで実行できるレベルを目指します。
ステップ4:ツールで仕組み化する
マニュアルだけでは形骸化しがちです。ワークフローシステムやナレッジ共有ツール、クラウドツールを活用すれば、手順や情報が自然に共有され、「人」ではなく「仕組み」に業務が残るようになります。
属人化解消はDXの第一歩でもある
属人化の解消は、単なる業務整理にとどまりません。業務の棚卸しと標準化は、ITツール導入や業務効率化の前提でもあります。属人化したままツールだけ入れても定着しません。逆に、属人化を解消する過程は、自社の業務を見直し、DXを進める絶好の機会になります。
自社だけで進めにくいときは外部の力を
「忙しくて棚卸しの時間が取れない」「どこから手をつければいいか分からない」という場合は、外部の伴走支援を活用するのも一つの方法です。第三者の視点が入ることで、社内では当たり前すぎて気づけなかった属人化を客観的に見つけ出すことができます。
まとめ
「あの人しかできない」状態は、放置すれば経営リスクになります。業務の棚卸し、標準化、マニュアル化、ツールによる仕組み化という4つのステップで、知識と手順を「人」から「組織」へ移していきましょう。属人化の解消は、強い組織づくりとDXの両方につながる重要な取り組みです。