生成AIは営業をどう変えるか|現場目線で考える活用法

「生成AIで、営業の仕事はなくなるのか」。最近、こうした声を耳にすることが増えました。

30年間、営業の現場に立ち、20年以上ITを使い続けてきた立場から、私はこう考えています。生成AIは営業を奪うのではなく、営業のあり方を変える道具だ、と。

生成AIは、脅威ではなく道具

新しい技術が登場するたびに、「仕事が奪われる」という不安が語られます。しかし振り返れば、インターネットもスマートフォンも、営業をなくしはしませんでした。役割を変え、より本質的な仕事に集中できるようにしてくれたのです。営業にこそデジタルを活かすという発想で道具を味方につけてきた経験から見ても、生成AIは同じ延長線上にあると感じます。

生成AIも、恐れて遠ざけるのではなく、何ができて何ができないのかを知り、味方につける。その姿勢がこれからの営業を大きく左右します。

生成AIが得意なこと

生成AIは、文章をまとめる、たたき台をつくる、情報を整理するといった作業を得意とします。営業の現場に当てはめれば、提案書やメールの下書き、議事録の整理、業界情報の要約など、これまで時間を取られていた作業を大幅に効率化できる可能性があります。

こうした準備や事務作業にかかっていた時間を短くできれば、その分、お客様と向き合う時間を増やせます。生成AIは、営業が本来やるべき仕事に集中するための時間を生み出してくれるのです。

現場で、こう使う

では、現場ではどう使えばよいのでしょうか。基本は「下書きや下調べを任せ、仕上げは自分で行う」という分担です。

たとえば、提案書の骨子やメールの文面をまず生成AIにつくらせ、それを土台にお客様の状況へ合わせて書き直す。初めて関わる業界であれば、専門用語や業界動向を整理してもらい、頭に入れたうえで商談に臨む。こうした使い方をすれば、ゼロから準備するよりはるかに短い時間で、質の高い準備ができます。

大切なのは、生成AIの答えを出発点として扱うことです。そのまま提出するのではなく、自分の言葉と判断で磨き上げる。その一手間が、AIを使った仕事と、人が仕上げた仕事との違いを生みます。

生成AIにできないこと

一方で、生成AIにはできないこともあります。お客様の表情や声色から本音を読み取ること、信頼関係を一から築くこと、その場の空気を読んで判断すること――こうした「人にしかできない仕事」は、生成AIには代えられません。

商品やサービスで差がつきにくい時代に、最後にお客様が選ぶ決め手は「人」で選ばれるかどうかです。生成AIが出してくる答えは、あくまで「たたき台」にすぎません。それをお客様一人ひとりの状況に合わせて磨き上げ、信頼を積み重ねるのは、やはり人の役割です。AIの答えを鵜呑みにせず、最後は自分の目で確かめる。この姿勢を忘れてはいけません。

おわりに

生成AIを使いこなす営業と、敬遠する営業。その差は、これから急速に開いていくでしょう。

大切なのは、道具に振り回されるのではなく、道具を使いこなすことです。生成AIで効率化し、生まれた時間をお客様に向ける。技術が進化しても、最後に信頼されるのは「人」である――この本質は、これからも変わらないと私は考えています。

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