DXを進めてデータやシステムを活用するほど、それを「守る」対策も重要になります。「うちは小さい会社だから狙われない」——これは大きな誤解です。むしろ対策が手薄な中小企業こそ、攻撃の標的になりやすいのが実情です。本記事では、DXと同時に考えるべきセキュリティ対策の基本を解説します。
なぜ中小企業が狙われるのか
攻撃者は、対策が甘く侵入しやすい相手を狙います。大企業に比べてセキュリティ対策が手薄な中小企業は、格好の標的です。さらに、取引先である大企業へ侵入するための「踏み台」として中小企業が狙われるケースもあります。「自社だけの問題では済まない」という意識が必要です。
DXとセキュリティは「セット」で考える
クラウドツールの導入、データの活用、テレワーク——DXによって便利になる一方で、情報が外部とやり取りされる機会が増え、リスクの入り口も広がります。DXを「攻め」とすれば、セキュリティは「守り」です。攻めと守りは両輪であり、守りが弱いまま攻めだけ進めると、かえって大きな損失を招きかねません。
中小企業が取り組むべき「守りの基本」
難しく考える必要はありません。まずは基本的な対策を確実に行うことが大切です。IPA(情報処理推進機構)も、中小企業向けに基本的な対策をまとめたガイドラインを公開しています。
① ソフトを最新の状態に保つ
OSやアプリ、ウイルス対策ソフトを常に最新にします。古いソフトの弱点が攻撃の入り口になるためです。
② パスワードを強化し、多要素認証を使う
推測されにくいパスワードを設定し、使い回さないこと。さらに、パスワードに加えてスマホ認証などを組み合わせる「多要素認証」を導入すれば、万一パスワードが漏れても不正ログインを大幅に防げます。
③ 怪しいメール・添付ファイルに注意する
多くの攻撃はメールから始まります。不審なメールの添付ファイルやリンクは安易に開かない、というルールを社内で徹底します。
④ データのバックアップを取る
万一データが暗号化・破壊されても復旧できるよう、定期的にバックアップを取ります。ランサムウェア(身代金要求型の攻撃)への有効な備えです。
⑤ 社員教育で「人」の対策をする
セキュリティ事故の多くは、人的ミスがきっかけです。どんなにツールを入れても、使う人の意識が低ければ穴ができます。基本ルールの共有と教育が欠かせません。
「完璧」より「まず基本から」
セキュリティ対策に終わりはありませんが、最初から完璧を目指す必要はありません。まずは上記の基本を一つずつ実行するだけでも、リスクは大きく下がります。大切なのは「何もしていない」状態から抜け出すことです。できるところから着実に始めましょう。
自社だけで不安なときは外部の力を
「何から手をつければいいか分からない」「専門知識を持つ人材がいない」という場合は、外部の専門家やサービスを活用するのも有効です。DXの推進とセキュリティの強化を一体で支援してもらうことで、攻めと守りのバランスの取れた体制を築けます。
まとめ
中小企業こそ、セキュリティ対策が必要です。DXを進めるなら、守りも同時に固めることが欠かせません。ソフトの更新、パスワード強化と多要素認証、メールへの注意、バックアップ、社員教育——この基本を着実に実行することが、会社と取引先を守る第一歩です。完璧を目指すより、まず基本から始めましょう。