「2か月で、新規20件」。
営業の現場では、ときに、こうした「必達目標」を背負うことがあります。期限は決まっていて、後ろにずらすことはできない。しかも、目標の数字は、決して楽なものではない。そんな状況を、どう乗り越えるか。
今回は、私が、営業未経験者を含むチームを率いて、短期間で必達目標を達成したときの経験を、お話ししたいと思います。決して恵まれた体制ではありませんでしたが、だからこそ学んだことが、たくさんありました。
決して、恵まれた体制ではなかった
その案件は、会計事務所向けのパッケージソフトの新規開拓でした。
プロジェクトの期間は、トータルで6か月。ただし、最初の2か月で「新規20件」という必達目標が課されていました。後半のためにも、まずこの2か月で結果を出すことが、絶対条件だったのです。
チームは、私を含めて5名。その内訳は、決して恵まれたものではありませんでした。私のほかに、営業専門でスポット的に動くメンバーが1名、営業経験はあるものの転職活動中で、その合間に参加するメンバーが1名。そして、残りの2名は、営業の経験がまったくない未経験者でした。
正直に言えば、不利な体制です。会計という専門的な知識が求められる商材であるうえに、5名のうち2名が営業未経験。さらに、フルコミットできるメンバーばかりではない。この状態で、2か月20件をやりきる。最初は、難しい挑戦だと感じました。
工夫① 勉強会で、短期間にスキルを底上げする
まず取り組んだのが、勉強会の実施です。
会計事務所向けのソフトを売るには、商品知識だけでなく、会計の基本的な知識も必要でした。未経験のメンバーが、いきなりお客様の前でまともに話せるはずがありません。かといって、ゆっくり育てている時間もない。2か月しかないのです。
そこで、必要な知識と、最低限の営業の型を、勉強会という形で集中的に共有しました。何を聞かれたら、どう答えるか。どういう順番で話を進めるか。よくある質問にどう対応するか。一人ひとりが「これだけ押さえておけば、最初の一歩は踏み出せる」という状態まで、短期間で引き上げることを意識しました。
未経験者にとって、一番こわいのは「分からないまま、現場に出されること」です。だからこそ、まず最低限の土台を全員で共有する。そのうえで現場に出てもらう。このひと手間が、未経験メンバーの不安を大きく減らしてくれました。
工夫② 力量に合わせて、目標を設定する
次に意識したのが、全員に一律の数字を割り振らない、ということです。
5名は、経験も力量もバラバラでした。経験豊富なメンバーと、まったくの未経験者に、同じ目標を課しても、うまくいきません。未経験者にとっては高すぎてつぶれてしまい、経験者にとっては低すぎて力を出しきれない。
そこで、一人ひとりの力量に合わせて、目標を設定しました。経験のあるメンバーには、しっかりと数字を背負ってもらう。未経験のメンバーには、まずは「これならできる」という、手の届く目標から始めてもらう。チーム全体として20件を達成できるよう、それぞれの役割と数字を、現実的に組み立てていったのです。
大切なのは、「全員が、自分の目標なら届きそうだ」と思えること。一人ひとりが前を向いて動けてこそ、チームの合計が積み上がっていきます。
工夫③ 個別にフォローし、モチベーションを支える
そして、最も時間をかけたのが、個別のフォローでした。
とくに未経験のメンバーは、断られるたびに、気持ちが折れそうになります。新規開拓は、断られることのほうが圧倒的に多い仕事です。放っておけば、すぐに「自分には向いていない」と思い込んでしまう。
だから、一人ひとりの状況を見ながら、こまめに声をかけました。うまくいったときは一緒に喜び、つまずいたときは何が原因かを一緒に考える。「断られて当たり前。今のやり方は間違っていない」と伝え、モチベーションが下がらないように支えていきました。
目標は数字ですが、それを動かすのは、結局のところ人の気持ちです。一人ひとりが前向きに動き続けられるかどうか。そこに、チームで成果を出せるかどうかの分かれ目があると、私は考えています。
結果 2か月で、25件を達成できた
こうした取り組みの結果、私たちは、2か月で新規25件を達成しました。必達目標であった20件を、大きく上回る結果です。
振り返れば、決して恵まれた体制ではありませんでした。専門知識が必要な商材、半分が未経験というチーム、フルコミットできないメンバー。条件だけ見れば、不利なことばかりです。
それでも目標を達成できたのは、特別な才能のあるメンバーがいたからではありません。勉強会で土台をつくり、力量に合わせて目標を設計し、一人ひとりを個別に支える。この当たり前のことを、徹底してやりきったからこそ、結果につながったのだと思っています。
おわりに
短期間で必達目標を達成するというのは、簡単なことではありません。けれど、不利な体制であっても、やり方次第で、結果は出せます。
大切なのは、メンバー一人ひとりの力量と気持ちに向き合い、「全員がやりきれる形」を設計することです。スター選手を探すのではなく、今いるメンバーで、どう勝つかを考える。これは、営業に限らず、組織づくり全般に通じる考え方だと思います。
当社では、社外CFO、DXコンサルティングと並ぶ事業の柱として、営業コンサルティングに力を入れています。短期間での目標達成や、経験のばらつくチームでの成果づくりについて、現場で培った実体験をもとに、一緒に考えていきたいと思っています。営業チームづくりにお悩みの際は、ぜひ無料相談のお申し込みはこちら。