営業チームのメンバーは、いつも粒ぞろいとは限りません。ベテランもいれば、未経験者もいる。得意分野も、性格も、モチベーションもバラバラ。むしろ、それが現実です。
では、経験も力量もバラバラなチームで、どうすれば成果を出せるのか。30年の営業経験から見えてきた考え方をお伝えします。
「バラバラ」は、弱みではない
まず大切なのは、「メンバーがそろっていないこと」を弱みと捉えないことです。
経験も力量もバラバラだからこそ、一人では届かない多様な視点や強みが生まれます。ベテランの経験、若手の勢い、未経験者ならではの素朴な疑問――これらが噛み合えば、均質なチームにはない力を発揮できます。リーダーの仕事は、その違いを揃えることではなく、活かすことです。
一人ひとりの力量を見極める
違いを活かす第一歩は、メンバー一人ひとりの力量を正しく見極めることです。
誰が何を得意とし、何に不安を抱えているのか。今どのくらいの成果を出せる段階にいるのか。それを把握せずに一律の目標を課せば、できる人は物足りず、できない人は潰れてしまいます。まずは一人ひとりをよく観察し、理解することが出発点になります。
力量に合わせて、目標を設定する
力量を見極めたら、それに合わせて目標を設定します。
経験者には少し高めの数字を、未経験者には手の届く目標を。全員が「これなら達成できそうだ」と感じられる目標であることが重要です。背伸びしすぎず、しかし楽すぎない。その絶妙な水準を一人ひとりに設定することで、チーム全体が前向きに動き出します。
底上げと、個別フォローで支える
目標を設定したら、それを達成できるよう支える仕組みが必要です。
一つは、勉強会などによる全体の底上げです。商品知識や営業の基本を共有し、経験の浅いメンバーでも一定の水準で動けるようにします。もう一つは、個別のフォローです。うまくいかないメンバーには個別に原因を一緒に考え、励まし、次の一手を示す。全体の底上げと個別の伴走、この両方があってこそ、バラバラなチームは前に進めます。
実際、私は営業未経験者を含む5名のチームで、2か月という短期間の必達目標に挑んだことがあります。決して恵まれた体制ではありませんでしたが、勉強会による底上げ、力量に合わせた目標設定、個別フォローを徹底することで、目標を上回る成果を出すことができました。バラバラなチームでも、やるべきことを丁寧に積み重ねれば結果は出せるのです。
違いを束ねるのは、共通の目標
最後に欠かせないのが、チーム全員が同じ方向を向くための「共通の目標」です。
一人ひとりの目標は異なっても、チームとして目指すゴールは一つ。その共通の目標があるからこそ、バラバラな力が一つの方向に束ねられます。「全員でこの目標を達成する」という意識が、個人プレーの集まりを、本当の意味でのチームに変えるのです。
そしてもう一つ、束ねる力を確かなものにするのが情報の共有です。一人ひとりが得た気づきや成功例をチームで分かち合えば、個人の力が組織の力へと広がります。営業の属人化を防ぎ、ナレッジを組織で「見える化」することは、バラバラなチームの力を足し算ではなく掛け算に変えるための土台になります。
おわりに
経験も力量もバラバラなチームは、扱いが難しい一方で、大きな可能性を秘めています。違いを揃えようとするのではなく、違いを活かす。一人ひとりに合わせて支え、共通の目標で束ねる。その積み重ねが、寄せ集めのメンバーを、成果を出せる強いチームへと変えていきます。
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