営業は「相手が決裁者かどうか」で変わる|法人・個人の区別を超えて

営業で商談を前に進めるとき、必ず確認しておきたいことがあります。それは、「目の前の相手は、決裁者なのか」ということです。

面談している相手がその場で決められるのか、それとも別の場所で決裁されるのか。これによって、営業のすべきことは大きく変わります。

面談者が、決裁者とは限らない

営業でつい陥りがちなのが、「目の前の人に一生懸命説明すれば話が決まる」という思い込みです。しかし、その相手が決める権限を持っていなければ、どれだけ熱心に説明しても、決裁は別の場所で行われます。

大切なのは、「この人は決裁者なのか、それとも決裁者へ取り次ぐ立場なのか」を早い段階で見極めることです。これは、法人か個人かを問わず共通する、営業の基本です。

法人でも、個人でも、本質は同じ

「決裁者かどうか」という視点は、法人営業と個人営業の区別を超えて当てはまります。

たとえば法人でも、中小企業の経営者が相手であれば、その場で決裁してもらえることが多いものです。一方、大きな組織では、面談者が部門の担当者で、実際の決裁は上長や経営会議で行われることもあります。

個人の場合も同じです。たとえば生命保険の契約で、面談しているのはご主人でも、「妻に確認しないと決められない」というケースは珍しくありません。この場合、本当の決裁者はその場にいない奥様だということになります。法人・個人にかかわらず、「面談者=決裁者」とは限らないのです。

面談者=決裁者のとき

では、それぞれのケースでどう動けばよいのでしょうか。

面談している相手が決裁者であれば、その場でクロージングを目指せます。有効なのが、小さな「イエス」を積み重ねていくことです。「ここまではご納得いただけますか」「この点はお役に立てそうですか」――一つひとつ同意を得ながら進めれば、相手も自然と前向きになり、最後の決断にたどり着きやすくなります。決裁者が目の前にいるからこそ取れる、王道の進め方です。

面談者≠決裁者のとき

一方、面談者が決裁者でない場合は、進め方を変える必要があります。

このときに重要なのが、「決裁プロセスの確認」です。最終的に誰が決めるのか、どんな手順で決裁されるのか、何があれば承認が通るのか。これを面談者から丁寧に聞き出します。

そのうえで、面談者がスムーズに社内(あるいは家庭内)で話を通せるよう、営業がお客様に代わって動くことが求められます。決裁者向けの資料を用意する、想定される質問への答えをあらかじめ準備する、判断材料を整理して渡す――面談者を「こちらの味方」にし、決裁者へ届けるための準備を支援するのです。目の前の相手を説得することがゴールではなく、その先の決裁者に「イエス」と言わせることがゴールだと理解しておく必要があります。

「誰が決めるか」を見抜く力

面談者が決裁者かどうかを見極め、それに応じて動き方を変える。これは、相手の組織の構造を理解しているとより精度が上がります。組織の形によって決裁権限がどこにあるのかについては、営業が押さえておくべき組織体制の基礎|「誰が決めるか」を見抜くで詳しくお伝えしています。あわせてご覧いただくと、決裁者を見抜く力がいっそう高まります。

おわりに

営業の成否は、「誰が決めるか」を正しく捉えられるかどうかに大きく左右されます。目の前の相手が決裁者なら、イエスを積み重ねてクロージングへ。決裁者でないなら、決裁プロセスを確認し、その先の決裁者に届くよう支援する。

法人か個人か、という区別よりも、「相手は決める人か、取り次ぐ人か」を見極めること。その視点を持つだけで、商談の進め方は的確になり、空回りが減っていきます。

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