大きな会社と、なかなか取引が広がらない。
そんなご相談を、いただくことがあります。
最初の一件は、取れた。担当者とも、良い関係が築けている。それなのに、そこから先へ、話が伸びていかない。金額も、頭打ちになっている。
原因は、営業担当者の力量ではないことが、少なくありません。攻め方の「捉え方」に、ずれがあるのです。
大企業を「点」で見ると、広がらない
多くの場合、大企業への営業は、一人の窓口から始まります。
その方と信頼を築き、案件を進める。ここまでは、正しい。問題は、その一人だけを見つづけてしまうことです。
大きな会社は、いくつもの部署が、それぞれの予算と判断で動いています。一人の担当者が見えている範囲は、その会社全体から見れば、ほんの一部にすぎません。
その一点だけを追いかけていると、取引は、その方の権限の範囲で止まります。異動や退職があれば、関係そのものが、途切れてしまうこともあります。
これが、「点」で攻める営業の限界です。
アカウントプラン営業とは、会社全体を「面」で捉えること
アカウントプラン営業とは、一つの重要顧客を、一枚の「面」として捉える考え方です。
目の前の担当者だけでなく、その会社にどんな部署があり、誰が予算を握り、どこに課題が眠っているのかを、全体として描き出します。そのうえで、「誰に・いつ・何を提案していくか」を、あらかじめ計画として持っておく。
一件の商談を追うのではなく、その会社との関係そのものを、長い目で設計する営業です。
特別なことを、するわけではありません。ただ、視野を「一人」から「一社全体」へ広げる。それだけで、見えてくる景色が、変わります。
まず、相手の組織を描いてみる
面で攻めるための第一歩は、相手の組織図を、自分なりに描いてみることです。
どの部署があり、誰が責任者で、どこがつながっているのか。今、自分が接している人は、その中のどこに位置しているのか。書き出してみると、まだ会えていない部署や、まだ話せていない決裁者が、はっきりと見えてきます。
そして、その会社が今、何を目指し、どこに困っているのか。上位の方針を知ることで、目の前の一部署の話が、会社全体のどこにつながるのかが、わかってきます。
この地図があると、次に、どこへ足を伸ばすべきかが、見えてくるのです。
関係を、一人に頼らない
一人の窓口だけに頼る関係は、もろいものです。
その方が異動すれば、ゼロに戻ることもあります。だからこそ、複数の部署、複数の人と、少しずつ接点を持っておく。会社対会社の、面での関係へと育てていく。
これは、営業担当者一人の努力では、限界があります。案件によっては、技術の担当者や、経営層の同席が、扉を開くこともあります。
私自身、これまで為替の仲介から生命保険、そしてITの提案まで、さまざまな法人と向き合ってきました。大きな取引ほど、一人で完結するものではない。組織で向き合うからこそ、広がっていく。そう感じています。
おわりに
大企業との取引は、一件を取って終わり、ではありません。
その会社を一枚の面として捉え、時間をかけて、関係を深め、広げていく。アカウントプラン営業とは、その地道な設計図を、持ちつづけることだと思います。
華やかな手法では、ありません。相手の会社を、丁寧に見つめること。それが、遠回りに見えて、いちばん確かな道だと、思っています。