「新規開拓が、どうも苦手で」。営業の方から、よくそんな声を聞きます。
知らない相手に連絡をする。断られるかもしれない場所へ、足を運ぶ。考えただけで、気が重くなる。その気持ちは、とてもよく分かります。実は、私自身も、最初から新規開拓が得意だったわけではありません。
今回は、新規開拓が苦手だと感じている方に向けて、最初の一歩を、少しでも軽くするための考え方をお伝えしたいと思います。
新規開拓が「重い」のには、理由がある
そもそも、なぜ新規開拓は、こんなにも気が重いのでしょうか。
いちばんの理由は、「断られるのが怖い」からだと思います。知らない相手に連絡をして、冷たく断られる。無視される。そうした場面を想像すると、足がすくんでしまう。これは、誰にでもある、ごく自然な感情です。
もうひとつは、「うまくやらなければ」というプレッシャーです。完璧なトークをして、一発で成果を出さなければ。そう気負うほど、最初の一歩が、どんどん重くなっていきます。
つまり、新規開拓が苦手なのは、能力の問題ではありません。誰もが感じる、ごく当たり前の心理が、ハードルを高くしているだけなのです。だとすれば、その心理との付き合い方を少し変えるだけで、一歩は、ぐっと軽くなります。
「売り込む」のではなく、「困りごとを聞きにいく」
最初の一歩を軽くする、いちばんの考え方。それは、「売り込みにいくのではない」と考えることです。
新規開拓を「自分の商品を売り込む場」だと思うと、どうしても気が重くなります。「断られたら、自分が否定された気がする」からです。
そうではなく、「相手の困りごとを聞きにいくだけ」だと考えてみてください。今日は、売らなくていい。ただ、相手が何に困っているのかを、聞かせてもらいにいく。そう思えるだけで、心はずいぶん軽くなります。
私が新規開拓のときに意識していたのは、「今日は、商品の話はしない」と最初から決めてしまうことでした。
なぜなら、商品の話を始めた瞬間に、相手は「売り込まれる」と身構えてしまうからです。一度そうやって心の壁ができてしまうと、その後、何を話しても、なかなか耳を傾けてもらえません。
だから、最初は、あえて商品の話をしない。代わりに、相手のことを聞く。どんな仕事をしているのか、今どんなことに困っているのか。商品を売るためではなく、相手を知るために、その場にいる。そう決めておくだけで、自分の気持ちも軽くなりますし、相手も安心して、本音を話してくれるようになります。
実際、これは営業の本質でもあります。いきなり商品を売り込まれて喜ぶお客様は、いません。まず相手の話を聞き、課題を理解する。新規開拓は、その「最初の出会い」にすぎないのです。売ることではなく、知ることが目的。そう考えれば、一歩が踏み出しやすくなります。
断られて、当たり前。だから、気にしない
新規開拓では、断られるのが当たり前です。
これは、慰めで言っているのではありません。事実として、新規開拓は、断られる数のほうが、はるかに多い仕事です。10件あたって、1件、2件話を聞いてもらえれば上々、ということも珍しくありません。
だとすれば、断られることに、いちいち落ち込む必要はないのです。断られるのは、あなたが悪いからでも、能力がないからでもありません。ただ、タイミングが合わなかった。ただ、今は必要なかった。それだけのことです。
「断られて、当たり前」。そう最初から思っておけば、断られても、心は折れません。むしろ、「次にいこう」と、淡々と前に進めるようになります。一件一件の結果に一喜一憂せず、行動の数を積み重ねる。これが、新規開拓を続けるコツです。
小さな一歩から、始めればいい
それでも、最初の一歩が重いときは、ハードルをとことん下げてみてください。
いきなり完璧な商談をしようとしなくていい。まずは、一本だけ電話をかけてみる。一件だけ、メールを送ってみる。一社だけ、訪問してみる。そのくらい小さな一歩で、十分です。
大切なのは、完璧にやることではなく、まず動いてみることです。動いてみれば、相手の反応が返ってきます。その反応から、次にどうすればいいかが見えてくる。頭で考えて立ちすくんでいるより、小さく動いてみるほうが、はるかに早く前に進めます。
そして、小さな一歩でも、踏み出せたら、自分をほめてあげてください。「今日は一本、電話できた」。その小さな成功体験の積み重ねが、やがて新規開拓への苦手意識を、少しずつ溶かしていってくれます。
おわりに
新規開拓が苦手なのは、あなただけではありません。多くの営業が、同じ気持ちを抱えています。私自身も、そうでした。
けれど、考え方を少し変えるだけで、最初の一歩は、ずいぶん軽くなります。売り込むのではなく、聞きにいく。断られて当たり前と、最初から思っておく。そして、小さな一歩から始める。
新規開拓は、特別な才能が必要な仕事ではありません。気持ちのハードルを下げて、淡々と行動を積み重ねれば、誰でも、必ず前に進めます。
当社では、社外CFO、DXコンサルティングと並ぶ事業の柱として、営業コンサルティングに力を入れています。新規開拓の進め方や、営業チームの仕組みづくりなど、「どう動けばいいか分からない」というお悩みに、現場目線で一緒に向き合います。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。