「目標未達」から学んだこと|安価な競合に勝てなかった経験

営業をしていれば、目標に届かない月も、年もあります。

どれだけ努力しても、結果が出ない。お客様のもとへ何度も足を運んだのに、最後の最後で、他社に決まってしまう。そんな悔しい思いを、私も何度も味わってきました。

今回は、私が「目標未達」という苦い経験から学んだことを、お話ししたいと思います。とくに、安価な競合に勝てなかった経験は、今の私の考え方の土台になっています。

業務用空気清浄機を売っていた頃の話

かつて私は、ある中小メーカーの業務用空気清浄機を販売していました。

業務用の空気清浄機は、たとえば喫煙室などで使われ、きれいな空気を循環させるための機器です。オフィスやホテル、映画館、ショッピングモールなど、人が多く集まる場所に導入されていました。私が担当していたのは、本体の販売と、その設置工事です。

この仕事には、ひとつ大きな特徴がありました。それは、機器を導入したあとも、年に2回ほど、専門業者によるメンテナンスが必要だということです。そして、そのメンテナンス費用は固定で、値引きが一切できませんでした。

つまり、お客様にとってのコストは、最初の「初期費用(本体+設置工事)」だけでなく、その後ずっと続く「ランニングコスト(メンテナンス費用)」も含まれる、ということです。今になって思えば、ここに、私が苦しめられた理由のすべてが詰まっていました。

初期費用で勝っても、ランニングコストで負ける

当時の市場には、上場企業を含め、さまざまな競合がいました。

とくに、大手企業に導入していただく場合、1社との随意契約ということは、まずありません。必ず複数社の相見積もり、つまり競合とのコンペになります。お客様は、各社の見積もりを並べて、総合的に判断するわけです。

このとき、見られるのは初期費用だけではありません。導入後にかかるランニングコストも、当然、重要な比較対象になります。むしろ、長く使う機器だからこそ、お客様はトータルでいくらかかるのかを、シビアに見ていました。

私は、初期費用については、できる限りの努力をしました。本体価格も、設置工事費も、ぎりぎりまで頑張って提示しました。それでも、最後に負けてしまうことが、度々あったのです。

理由は、ランニングコストでした。私が扱っていた機器のメンテナンス費用は固定で、どうにも動かせない。一方、競合は、そのランニングコストの部分で、柔軟に価格を出してくる。初期費用でどれだけ食い下がっても、年2回、何年も続くメンテナンス費用の差で、トータルでは逆転されてしまう。お客様の前で、なすすべがありませんでした。

「動かせない価格」を、そのままにしていた

当時の私は、「メンテナンス費用は固定だから、仕方がない」と思い込んでいました。会社が決めた価格なのだから、自分にはどうにもできない、と。

けれど、今、社外CFOとして数字と向き合う立場になって、振り返ると、これは大きな反省点です。

本来であれば、私は会社と交渉して、ランニングコストも含めたトータルで、柔軟に価格設定ができるようにすべきだったのです。「初期費用は据え置いても、メンテナンス費用をこう設定すれば、トータルで競合に勝てる」。そういう提案を、自分から会社に持ちかけるべきでした。

お客様が見ているのは、トータルのコストです。それなら、こちらもトータルで戦える武器を持たなければ、土俵にすら上がれません。「価格は決まっているもの」と諦めて、目の前の初期費用だけで勝負していた。これが、私が勝ちきれなかった、本当の原因だったと思います。

目標未達が、教えてくれたこと

この苦い経験から、私はいくつかの大切なことを学びました。

ひとつは、お客様は「点」ではなく「線」で、コストを見ているということです。導入したその瞬間の金額だけでなく、その先、何年も続く負担まで含めて判断している。営業をする側も、目先の一回の取引だけでなく、お客様がその商品とどれだけの期間つき合うのか、という視点を持たなければなりません。

もうひとつは、「価格は変えられない」と決めつけないことの大切さです。価格や条件は、会社のなかで決まっているように見えても、交渉や工夫の余地があることは少なくありません。現場で戦っている営業こそ、お客様の生の声を会社に持ち帰り、「こうすれば勝てる」という提案をする責任がある。それを諦めてしまった瞬間に、勝負は決まってしまうのです。

そして何より、目標未達という結果は、ただの失敗ではなく、「次にどう戦うか」を教えてくれる貴重な経験だということです。あのとき負けた悔しさがあるからこそ、今、私は中小企業の経営者に「価格をどう設計するか」「ランニングコストまで含めてどう戦うか」を、自分の実体験として語ることができます。

おわりに

安価な競合に勝てず、目標に届かなかった日々は、当時の私にとって、本当に苦しいものでした。けれど、その経験があったからこそ、価格とは何か、お客様は本当は何を見ているのか、という本質に気づくことができました。

もし今、価格競争に苦しんでいる営業の方、経営者の方がいらっしゃるなら、お伝えしたいことがあります。目の前の値引きで消耗する前に、一度、「お客様がトータルで見ているコストは何か」「自社は、その全体でどう戦えるのか」を、立ち止まって考えてみてください。戦う土俵そのものを、設計し直せるかもしれません。

当社では、社外CFO、DXコンサルティングと並ぶ事業の柱として、営業コンサルティングに力を入れています。価格戦略や、価格競争に巻き込まれない営業のあり方について、現場と数字の両方を知る立場から、一緒に考えていきたいと思っています。営業や価格設定にお悩みの際は、ぜひ無料相談のお申し込みはこちら

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