「売れる営業と、売れない営業。その違いは、どこにあるのですか」。
営業の研修や相談の場で、よく聞かれる質問です。同じ会社で、同じ商品を、同じように売っているはずなのに、結果には大きな差が出る。この差は、いったいどこから生まれるのか。
私は、為替、生命保険、ITと、複数の業界で30年以上、営業に携わってきました。業界が違えば、商品も、お客様も、売り方もまったく異なります。それでも、不思議なことに、「売れる人」に共通する特徴は、どの業界でも、ほとんど同じでした。今回は、複数業界を経験して見えてきた、売れる営業と売れない営業の違いについて、3つの観点からお話ししたいと思います。
違い① 「売ること」より「聞くこと」を優先する
まず、最も大きな違いは、話す量と聞く量のバランスです。
売れない営業ほど、たくさん話そうとします。商品の良さを、一生懸命に説明する。けれど、お客様は、売り込まれていると感じた瞬間に、心の扉を閉じてしまいます。
一方、売れる営業は、よく聞きます。自分が話すよりも、お客様の話を引き出すことに、時間を使う。お客様が今、何に困っているのか。何を求めているのか。それを丁寧に聞き出してから、はじめて提案に入る。順番が、まったく逆なのです。
違い② 売れたあとも、誠実につき合い続ける
次に、契約のあとの行動に、大きな差が出ます。
売れない営業は、契約が取れた瞬間に、関心が次のお客様へ移ってしまいがちです。けれど、お客様から見れば、契約は「つき合いの始まり」です。売ったあとの対応がぞんざいだと、信頼は一気に失われます。
売れる営業は、売ったあとこそ、こまめに連絡を取り、フォローを続けます。その積み重ねが信頼となり、追加の注文や、別のお客様の紹介につながっていく。目先の一件ではなく、長いつき合いを見ているのです。
違い③ 約束を、必ず守る
三つめは、ごく当たり前のことですが、約束を守るかどうかです。
「明日までに資料をお送りします」「来週、ご連絡します」。こうした小さな約束を、必ず守る人と、つい後回しにしてしまう人がいます。一つひとつは些細なことに見えますが、お客様は、こうした小さな約束の積み重ねで、「この人は信頼できるか」を判断しています。
私自身、この「小さな約束を、必ず守る」ということを、非常に意識してきました。お客様に「明日までに資料をお送りします」「来週、ご連絡します」とお伝えしたら、必ず、自分のスケジュールにもその予定を入れる。約束を、頭の中だけで覚えておくのではなく、仕組みとして、確実に実行できるようにしていたのです。
とはいえ、どれだけ気をつけても、約束を必ず守れるとは限りません。ほかの仕事が立て込んで、どうしても間に合わないこともあります。そういうときは、黙ってやり過ごすのではなく、遅れてしまうことのお詫びと、いつまでにできるのかを、必ず自分から連絡していました。
約束が守れなかったこと以上に、お客様が不信感を抱くのは、「連絡もなく、放置されること」です。だからこそ、間に合わないときほど、こちらから誠実に伝える。その積み重ねが、信頼につながっていくと考えていました。
売れる営業は、当たり前のことを、当たり前に、徹底してやりきります。派手なテクニックではなく、この地味な誠実さの積み重ねが、最後にものを言うのです。
業界が変わっても、変わらなかったこと
こうして振り返ってみると、売れる営業の特徴は、特別なものではありません。よく聞く。売ったあとも誠実につき合う。約束を守る。どれも、当たり前のことばかりです。
そして、これらはすべて、「商品を売る技術」ではなく、「人と向き合う姿勢」の問題です。だからこそ、為替であれ、保険であれ、ITであれ、業界が変わっても、共通していたのだと思います。扱う商品が変わっても、相手が「人」であることは、変わらないからです。
おわりに
売れる営業と売れない営業の違いは、才能やセンスの差ではありません。当たり前のことを、どれだけ誠実に、徹底して続けられるか。その差が、長い目で見たときに、大きな結果の違いとなって表れます。
もし今、結果が出ずに悩んでいる方がいれば、特別なテクニックを探す前に、まず「よく聞けているか」「約束を守れているか」を振り返ってみてください。そこに、変化のきっかけがあるはずです。
当社では、社外CFO、DXコンサルティングと並ぶ事業の柱として、営業コンサルティングに力を入れています。小手先のテクニックではなく、業界を越えて通用する「売れる営業」の本質を、現場で培った実体験をもとに、一緒に築いていきたいと考えています。営業力の強化にお悩みの際は、ぜひ無料相談のお申し込みはこちら。