「ソリューション営業」という言葉を、よく耳にするようになりました。
けれど、改めて「ソリューション営業とは何ですか」と問われると、うまく答えられない方も多いのではないでしょうか。言葉だけが先行して、その本質が、意外と理解されていないように感じます。
私は30年以上、営業の現場に立ってきました。今回は、私なりに、ソリューション営業とは何か、そして、それがなぜ大切なのかを、できるだけ分かりやすくお話ししたいと思います。
ソリューション営業とは、「課題を解決する営業」
ソリューション営業を、ひと言で言えば、「お客様の課題を解決する営業」です。
従来の営業は、自社の商品を「売る」ことが目的でした。良い商品を、いかに上手に説明し、買っていただくか。営業の腕とは、すなわち「売る力」のことだったのです。
一方、ソリューション営業では、出発点が違います。まず、お客様が何に困っているのか、どんな課題を抱えているのかを理解する。そして、その課題を解決する手段として、自社の商品やサービスを提案する。主役は「商品」ではなく、「お客様の課題」なのです。
同じものを提案するとしても、「これを買ってください」と差し出すのか、「あなたのこの困りごとは、これで解決できます」と差し出すのか。お客様の受け取り方は、まったく変わってきます。
なぜ、「売る」だけでは通用しなくなったのか
では、なぜソリューション営業が、これほど重視されるようになったのでしょうか。理由は、大きく二つあると考えています。
ひとつは、商品そのものでの差別化が、難しくなったことです。今の時代、優れた商品はあふれていて、機能や価格だけで大きな差をつけることは、年々難しくなっています。お客様も、調べればすぐに、他社の商品と比較できます。
そして、もうひとつ。私が、より大きいと感じているのが、インターネット、そしてスマートフォンの普及です。
昔は、今ほど情報があふれていませんでした。だからこそ、会社に営業が来て、商品を紹介してくれること自体が、ありがたいことだったのです。当時の営業は、お客様にとって、新しい情報の「仕入れ先」でもありました。じつは、その頃から「お客様の困りごとを解決する」という取り組みは、行われていたのだと思います。
ところが、インターネットの登場で、状況は一変しました。検索すれば、わざわざ営業との面談時間を取らなくても、必要な情報がいくらでも手に入る。お客様は、買いたい商品があれば、自分で調べて、必要な情報を得られるようになったのです。
さらに、スマートフォンの普及によって、いつでも、どこでも情報が手に入るようになりました。こうなると、「情報を届ける」だけの営業は、お客様にとって、わざわざ時間を割く価値がなくなってしまいます。実際、営業がお客様を訪問すること自体も、以前より難しくなっていると感じます。
だからこそ、今の営業に求められているのは、検索しても出てこないもの、つまり「お客様一人ひとりの、固有の課題を一緒に解決すること」です。情報を届ける役割が薄れた今、課題に向き合うソリューション営業こそが、営業が選ばれ続けるための道なのです。
「売る」から「解決する」へ、発想を変える
私自身、最初から、この発想ができていたわけではありません。営業を始めたころは、やはり「どう売るか」ばかりを考えていました。
けれど、経験を重ねるうちに、気づいたのです。お客様が「ありがとう」と言ってくださるのは、商品を買ったときではなく、自分の困りごとが解決されたときだ、ということに。
そして、このソリューション営業には、地道に続けることで生まれる、もう一つの効果があります。お客様の困りごとをお聞きして解決し、「小さな約束を、必ず守る」。これを地道に続けていくと、必ず、お客様のほうから、別の困りごとを相談してくださるようになるのです。
もちろん、ご相談いただくすべてに、私が応えられるわけではありません。自分が提供できるソリューションの外にある困りごとも、多くあります。すべてを提案できるとは限りません。それでも、そのうちのいくつかは、自社で解決できるものです。そうした提案が、結果として、追加の受注や売上につながっていきます。
つまり、「売ろう」として売れるのではなく、課題を解決し、信頼を積み重ねた先に、自然と次の仕事がついてくる。これが、ソリューション営業の本当の強さだと、私は実感しています。
この経験を通じて、私の営業に対する考え方は、大きく変わりました。「何を売るか」ではなく、「お客様の何を解決できるか」。そう考えるようになってから、お客様との関係も、結果も、変わっていきました。
ソリューション営業の出発点は、「聞くこと」
では、ソリューション営業は、何から始めればよいのでしょうか。
答えは、シンプルです。まず、お客様の話を「聞くこと」から始まります。
課題を解決すると言っても、そもそも、お客様がどんな課題を抱えているのかが分からなければ、何も始まりません。しかも、お客様自身が、自分の本当の課題に気づいていないことも、少なくありません。
だからこそ、丁寧に話を聞き、対話を重ねながら、「本当の困りごとは何か」を一緒に掘り下げていく。この聞く力、課題を引き出す力こそが、ソリューション営業の土台になります。提案は、そのあとで、はじめて意味を持つのです。
おわりに
ソリューション営業とは、特別な技術ではありません。お客様を主役に置き、その課題を解決することを第一に考える。その姿勢のことです。
「どう売るか」から、「お客様の何を解決できるか」へ。この発想の転換ができたとき、営業は、単なる売り込みではなく、お客様にとって、なくてはならない存在になります。そして、その信頼こそが、長く選ばれ続ける営業の土台になるのだと、私は考えています。
当社では、社外CFO、DXコンサルティングと並ぶ事業の柱として、営業コンサルティングに力を入れています。「売る営業」から「課題を解決する営業」への転換を、現場で培った実体験をもとに、一緒に考えていきたいと思っています。営業のあり方にお悩みの際は、ぜひ無料相談のお申し込みはこちら。